事業者・労務管理担当の方のQ&A

働き方改革関連

「働き方改革関連法」は、労働法の70年ぶりの大改正ということで、法律ではじめて時間外労働の上限規制が定められたということですが、今回の改正で罰則が適用される改正労基法36条6項違反となるのはどのような場合でしょうか?違反例を示して説明してください。

時間外労働の上限規制とは

労基法上、労働時間は、原則として、1週40時間、1日8時間と法定されていて(労基法32条)、使用者がこれを超えて労働させた場合には32条違反として処罰される可能性があります(労基法119条1号)。ただし、時間外・休日労働協定(以下「36協定」)がある場合にはそれに従って原則的労働時間を延長して労働させることができ、その協定で定められた範囲内で延長をして労働させても32条違反にはなりません。
上限規制というのは、この36協定による労働時間の延長の時間の上限を規制するものです。これまで法律本文では、36協定で定める限度が規定されておらず、厚生労働大臣告示で時間外労働の上限や特別条項の規制がされてきました(改正前労基法36条2項)。
今回の改正では、この厚生労働大臣告示で定めていたものを、労基法の法文に格上げして、労働時間の延長の限度(上限時間)の設定を行いました。

法定された時間外労働の上限時間

改正労基法に定められた、時間外労働の上限時間は、原則として月45時間、年360時間となりました(改正労基法36条4項)。臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません(改正労基法36条5項)。
そして、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、

  • ➀ 時間外労働が年720時間以内
  • ② 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • ③ 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
  • ④ 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月(6回)が限度

ということになりました(改正労基法36条5項、6項)。
この規定は、大企業については2019年(平成31年)4月1日から、中小企業については2020年(令和2年)4月1日から施行されています。

改正労基法36条6項違反の罰則の適用

新たに罰則規定(労基法119条1号)の対象となった改正労基法36条6項違反となるのは、36協定で定められた時間数にかかわらず、実際に、時間外労働と休日労働の合計が月100時間以上となった場合、時間外労働と休日労働の合計が2~6か月平均のいずれかで80時間を超えた場合となります。

*「2~6か月平均」は、36協定の起算日をまたぐケースも含め、連続した2か月から6か月までの期間を指します。したがって、当該36協定の対象期間となる1年間にかかわらず計算する必要があります。

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