事業者・労務管理担当の方のQ&A

解雇・雇止め

解雇制限や解雇理由による解雇の禁止が法律上定められている以外は、解雇は会社の都合によって自由にできるのでしょうか。

解雇権濫用の法理があり(労契法16)、期間の定めのない労働契約の場合、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には、その解雇は権利を濫用したものとして、無効となります。

民法では、期間の定めのない雇用契約を締結している両当事者(使用者と労働者)は、2週間の予告期間を置けば、どちらからでも雇用契約を終了させることができると規定されています(民法627①)。これは使用者の解雇の自由と労働者の退職の自由を定めたものですが、労契法16条は、これを使用者が行う解雇について修正し、解雇(使用者側からの労働契約の解約)には、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を要求しています(解雇権濫用法理)。ですから、使用者はその都合で従業員を自由に解雇できるわけではありません。解雇権濫用法理による制限があるのです。 この解雇権濫用法理は、判例(日本食塩事件昭和50年4月25日最高裁(2小)判決、高知放送事件昭和52年1月31日最高裁(2小)判決等)によって確立され、それが労契法16条で法律上の条文として規定されるに至ったものです。
したがって、解雇には、客観的に合理的な理由(解雇するのももっともだと思われる理由)と社会通念上の相当性(他の労働者との均衡やその労働者のこれまでの勤務状況などの事情を考えて相当かどうか)があってはじめて可能ということができます。

日本食塩事件
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/00669.html
高知放送事件
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/00738.html
解雇に関する裁判例
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/kaiko/kaiko.html

以上は無期契約労働者の解雇についての説明です。これに対して、有期労働契約労働者の場合、契約期間途中での解雇には、「やむを得ない事由」が必要です(労契法17①)。この「やむを得ない事由」は、期間の満了を待つことができないほどの事由という意味であり、期間の定めのない労働契約の下にある労働者を解雇できる場合の、「客観的に合理的な理由」および「社会通念上の相当性」がある場合(労契法16)よりも、狭いものです。

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