求人票や求人広告にはどこまで細かく書かなければならないのでしょうか。
使用者としては、ハローワークでの求人票や求人情報誌の求人広告において、求職している労働者にとって、知りたい情報を詳しく、また、誤解ないように明確に記載することが重要です。
このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に書面交付又は電子メール等で明示すべき労働条件は、次のとおり定められています(職安法5の3、職安法施行規則4の2③)。
また、求人する事業者が、職業紹介や募集時に明示した労働条件を変更、特定、削除、追加する場合には、求職者に対して変更する労働条件を明示しなければならなりません(職安法5の3③)。
さらに、虚偽の条件を提示して、ハローワーク、職業紹介事業者等に求人の申し込みを行った者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(同法65条)
なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件及び明示の方法については、労基法15に定められています。
また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています(労契法4)。
さらに、パートタイム労働者・有期雇用労働者に対する労働条件明示事項については追加事項があり、また、派遣労働者に対する説明事項や派遣労働者に明示すべき就業事項についても、別途定められています。
使用者は労働契約の締結に際し、労働条件のうち賃金・労働時間等一定のものについては労働者に明示しなければならないこととされており、そのうちの一定の労働条件については書面を交付して明示する必要があります。
なお、この明示の方法については、労働者の希望がある場合には、FAXや電子メール等の送信による明示が認められています。ただし、労働者がその電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものでなければなりません。
具体的に明示が義務付けられている事項は次のとおりです。このうち①~⑥までの事項(⑤の昇給に関する事項を除く)が書面の交付による明示が必要で、⑦~⑭までの事項については、使用者がこれを定めないときは明示の必要はありません(労基法15、労基則5)。
厚生労働省においては、労働条件通知書のモデル様式を作成し、その普及を図っています。
(明示事項)
※ なお、明示事項は、令和6年4月1日から就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲などが追加されました。2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(リーフレット) (mhlw.go.jp)
使用者は労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにし、また労働者及び使用者は、有期労働契約の場合も含め、労働契約の内容については、できる限り書面により確認することとされています(労契法4)。
パートタイム労働者・有期雇用労働者を雇い入れたときには、労基法15の明示事項に加え、次の事項を文書の交付等により明示しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法6①、同法施行規則2)。なお、労働者の希望がある場合には、FAXや電子メール等の送信による明示が認められています。(ただし、労働者がその電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものでなければなりません。)。
また、これら以外の事項についても、できるだけ文書の交付等により明示するよう努めることとされています(パートタイム・有期雇用労働法6②)。
※ パートタイム・有期雇用労働法は、大企業については令和2年4月1日から施行され、中小企業については令和3年4月1日から施行されています。
派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者(登録状態にあるいわゆる登録型の派遣労働者、いわゆる常用型の派遣労働者(雇い入れ後に一定期間研修を受講したり、派遣による就業以外の業務を行ったりした後に派遣される者を含む。)も該当)に対し、当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者の賃金の額の見込みその他の当該労働者の待遇に関する事項等(下記①~④)を説明しなければなりません(派遣法31の2①、派遣則25の14)。併せて、派遣元事業主は、労働契約の締結に際し、事前に、当該労働者に派遣労働者として雇い入れようとする旨(紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れる場合にあっては、その旨を含む。)を明示しなければなりません(派遣法32①)。
【説明・明示事項】
【説明・明示の方法】
待遇に関する事項等の説明は、書面の交付、ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信その他の適切な方法(口頭やインターネットによる説明等)により行わなければなりません。
ただし、賃金の額の見込みを説明する場合には、書面の交付若しくはファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信により行わなければなりません。(派遣則25の14①)
労働者派遣をする場合には、派遣労働者に対して労働者派遣契約で定める次の就業条件を明示しなければなりません(派遣法34)。労働契約締結時点と派遣する時点が同時である場合には、これらを併せて明示することもできます。
※働き方改革関連法(平成30年7月6日公布)により、労働者派遣法の改正が行われ、派遣労働者に対する雇入れ時及び労働者派遣時の待遇に関する説明義務が強化されています。(施行日:令和2年4月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf