有期雇用労働者の無期転換制度と、パートタイム労働者・有期雇用労働者の正社員転換の違いを教えてください。
無期転換とは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期雇用労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される制度です。要件を満たした労働者からの申込を使用者は拒否できません。無期労働契約に転換後の労働条件については、期間の定めを除き、転換前と同一とされます。
正社員転換制度は、パートタイム・有期雇用労働法に基づき、パートタイム労働者・有期雇用労働者を 通常の労働者(正社員)への転換する制度です。
・無期転換制度とは
有期労働契約が5年を超えて更新された場合は、有期契約労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換される制度です。要件を満たした有期雇用労働者から無期転換の申込みがあった場合、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります。
同一の使用者との間で締結された2つ以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間(これを「通算契約期間」といいます。)が、5年を超えていることが要件となります。
同一の使用者との間で有期労働契約を締結していない期間、すなわち「無契約期間」が、一定の長さ以上にわたる場合、この期間が「クーリング期間」として扱われ、それ以前の契約期間は通算対象から除外されます。
無期雇用への転換した後の労働条件は、原則として、従前のものと同一とされています。ただし、適法に定められた労働協約、就業規則及び個々の労働契約によって、「別段の定め」として、申込み時点の有期労働契約の労働条件と異なる労働条件を定めることは可能とされています(労契法18条)。
・無期転換制度の例外
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」では、①「5年を超える一定の期間内に完了する業務」に就く高度の専門知識等を有する年収1,075万円以上の有期雇用労働者(高度専門職)、②定年に達した後、引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)について、都道府県労働局長の認定を受けると、無期転換ルールが適用されない特例が設けられています。
有期雇用特別措置法による無期転換ルールの特例の適用を受けるためには、事業主が、雇用管理措置の計画を作成した上で、都道府県労働局長の認定を受けることが必要です。
また、「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」により、大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間を5年から10年とする特例が設けられています。
・正社員転換制度とは
事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用するパートタイム・有期雇用労働者について、次のいずれかの措置を講じなければなりません。
パートタイム・有期雇用労働法では通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずることが求められており、その結果として実際に通常の労働者に転換することまでは求められていません。