事業者・労務管理担当の方のQ&A

就業規則・書類の保存

就業規則の変更はどのように行えばよいのでしょうか。

就業規則を変更するには、作成の場合と同様、過半数代表(事業場において労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴取し、その者の署名又は記名押印のある書面(意見書)を添付して、労基署長に届出をしなければなりません(労基法89,90)。また、就業規則に変更があった場合には、当該変更後の内容を周知する必要があります(労基法106①)。この「周知」には、労働者の一人一人への配付、労働者がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け、あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにするといった方法があります(労基則52の2)。
就業規則の変更によって労働条件を労働者の有利に変更することは、上記の手続きを経れば可能ですし、問題も生じないでしょう。この場合、「周知」は実質的に周知することで個々の労働者に変更の効力が発生します。しかし、就業規則によって労働条件を労働者の不利に変更する場合(例えば労働時間が1日7時間30分であったのを8時間とするというような場合)には、原則的には、その就業規則の変更に対する個々の労働者との間の合意が必要です(労契法9本文)。ただし、例外的に、その変更が、周知され、就業規則の変更が合理的なものである場合には、この変更に合意をしない労働者も拘束するとされています(労契法9ただし書、10)。この「合理的」であるかどうかは、①労働者の不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況、⑤その他の就業規則の変更に係る事情、に照らして判断されます。この労契法9条、10条は、秋北バス事件(昭和43年12月25日最高裁(大)判決や、みちのく銀行事件平成12年9月7日最高裁(1小)判決など)の法理を条文化したものです。

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