事業者・労務管理担当の方のQ&A

年次有給休暇

わが社では、入社日から6か月後に有給休暇を付与し、その後は1年経過ごとに付与しています。途中入社も多く、付与する日は、バラバラです。使用者が時季指定しなければならないという5日の年休は、会社の年度で管理してもよいでしょうか。それとも、労働者ごとに管理する必要があるのでしょうか。

使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に、5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。(ただし、すでに5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。また、労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた年次有給休暇の日数(計画年休)については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。(改正労基法39条7項、8項))
貴社の場合は、入社日によって基準日が異なりますので、年5日の年次有給休暇の確実な取得を労働者ごとに管理する必要があります。
また、基準日を統一するためには、当初の基準日が統一しようとする基準日と異なる労働者については、年次有給休暇を法定の基準日以前に前倒しして付与する必要があります。
なお、基準日を前倒しして統一する際には

  • ①年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと
  • ②次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること

が必要となります。

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基準日の統一

全社的に起算日を合わせるために入社2年目以降の社員への付与日を統一すると、入社した年と翌年で年次有給休暇の付与日が異なるため、5日の指定義務がかかる1年間の期間に重複が生じる場合があります。
期間に重複が生じた場合には、履行期間(前の期間の始期から後の期間の終期までの期間)の長さに応じた日数(比例按分した日数)を当該期間に取得させることも認められています。

【図解】
入社から半年後(2019(令和元)/10/1)に10日以上の年次有給休暇を付与し、翌年度以降全社的に起算日を統一するため、4/1に年次有給休暇を付与する場合

2019(令和元)/10/1と2020(令和2)/4/1を基準日としてそれぞれ1年以内に5日の年次有給休暇を取得させる必要がありますが、管理を簡便にするため2019(令和元)/10/1(1年目の基準日)から2021(令和3)/3/31(2年目の基準日から1年後)までの期間(18か月)に、7.5日(18÷12✕5日)以上の年次有給休暇を取得させることも可能です。
(下図参照)

基準日の統一
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