年次有給休暇を取得した日の賃金について、いくら支払わなければならないという決まりはあるのでしょうか?
年次有給休暇を取得した日の賃金は、下記の3つのいずれかの方法により支払う必要があります(労基法39⑨)。
(1)及び(2)の賃金を原則としますが、(3)の賃金を選択することについて労使協定を締結した場合には、例外的に(3)の賃金を支払うことができることとされています。また、(1)から(3)のいずれの方法により支払うかはその都度労働者ごとに選択できるものではなく、あらかじめ就業規則等に定めておき、その定めた方法によらなければなりません(S27.9.20基発675、H11.3.31基発168)。
平均賃金とは、原則として算定すべき事由の発生した日(賃金締切日がある場合は直前の締切日)以前3ヵ月間(以下「算定期間」という)にその労働者に対して支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額です(労基法12①)。
(ⅰ)平均賃金の算定
ただし、日給制、時間給制、出来高払制及びその他請負制の場合には、最低保障額があり、①の算定の結果が、以下の最低保障額を下回るときは、最低保障額が平均賃金となります。
(ⅱ)最低保障額
なお、賃金の一部が月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と、上記の最低保障額の合算額となります。
※1「賃金の総額」には、以下の3つの賃金は算入されません。
※2 算定期間中に以下の期間があるときは、算定期間からその日数およびを期間中の賃金除いて計算します。
所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金とは、下記のいずれかをいいます(労基則25①)。
標準報酬月額とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者の保険料や保険給付の計算に用いられるもので、被保険者が1ヵ月に受ける給与等の報酬額(報酬月額)を等級に分けたものです。健康保険の等級は現在1等級(58,000円)~50等級(1,390,000円)に区分されています。
健康保険法に規定する標準報酬月額の1/30に相当する金額を年次有給休暇取得日の賃金として選択しようとする場合には、労使協定の締結が必要となります(労基法39⑨)。
※上記の標準報酬月額の1/30に相当する金額における5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円以上に切り上げます。