未成年者を雇用する場合にはどのような点を注意しなければならないのでしょうか?
未成年者を雇用する場合に、親権者や後見人が未成年者に代って労働契約を締結することは、未成年者本人の同意を得ていてもできませんので、あくまでも労働契約は本人と締結する必要があることに注意してください(労基法58①)。
なお、親権者や後見人又は所轄労働基準監督署長が、労働契約が未成年者に不利と認めるときは将来に向かって労働契約を解除することができることとされています(労基法58②)。
また、賃金は未成年者に直接支払うことが必要であり、未成年者に代って親権者や後見人に支払ってはいけないことに注意してください(労基法59)。
そのほか、未成年者のうち満18歳以下の者の雇用については、労基法において各種の制限がありますので、こちらを参照してください。
親権者等が労働契約が未成年者に不利と判断した場合には、労働者本人の意思に反してでもこれを解除できるかという疑問があります。この点については、裁判例において、未成年者に不利であると認められる場合には、未成年者の意思に反しても未成年者の利益になるものとして契約解除はできるとする一方で、親権者等の都合によって恣意的に不利益を認定しての解除は解除権の濫用とみるべきであるとされています。
(S37.2.12名古屋地判 倉敷紡績事件 要旨)。
http://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/01464.html
解除権者(注:親権者等)が不利と認定して使用者に対し労働契約解除の意思表示をした以上、使用者はこれを争う余地はないものと解すべきである。しかし、不利なることの認定が解除権者の判断にまかされているといっても、直ちにそれが解除権者の恣意的判断までも許しているものとみるべきではない。(中略)解除権者の使用者に対する好悪の感情、未成年者又はその交友との信条の相違、親権者の家庭事情等の解除権者の都合による事由に基いて不利を認定して解除権を行使するのは権利の濫用とみるべきであって、かかる場合は解除の効力を生じないものというべきである。